タイトル:S6BP501A/S6BP502Aの周辺部品からの熱の影響 ー KBA227567- Community Translated (JA)
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Translation - English: Effect of Heat from Peripheral Components on S6BP501A/S6BP502A – KBA227567
周辺部品の変更はS6BP501A/S6BP502Aによる発熱に殆ど影響を与えません。
DC/DCコンバーターのいくつかの要因は主に、インダクタやFETのスイッチングのために下記のような熱生成を誘導します。しかし、周辺部品はS6BP501A/S6BP502Aによる発熱に大きく影響しません。
- スイッチングFETのON抵抗による伝導損失
- スイッチングFETのON/OFFトランジッションでのスイッチング損失
- インダクタのDC抵抗による伝導損失
- インダクタの磁気材質によるコア損失
S6BP501A/S6BP502Aにはバッテリからの3.3Vを生成するプライマリチャネル(DD3V)があります。そして、DD3Vの出力から5Vと1.2Vを生成するセカンダリチャネル(DD5VおよびDD1V)があります。S6BP501A/S6BP502Aのブロック図を下記に示します。
図1. S6BP501A/S6BP502A ブロック図
S6BP501A/S6BP502AのDC/DCコンバータの主な熱要因は3つのDC/DCコンバータとDD3Vの負荷スイッチになります。
S6BP501A/S6BP502Aの温度はS6BP501A/S6BP502Aに内蔵された発熱要因によって上がります。表1にS6BP501A/S6BP502Aに内蔵されている発熱要因を示します。
表1.S6BP501A/S6BP502Aと発熱部品の関係性
チャネル | スイッチングFET | インダクタ |
DD3V (プライマリ) | 外部 | 外部 |
DD5V (セカンダリ) | 内部 | 外部 |
DD1V (セカンダリ) | 内部 | 外部 |
DD3V負荷スイッチもまた内蔵されています。しかし、DC/DCコンバータの周辺部品による影響を受けないため考慮されていません。
最初に、プライマリチャネルのDDC3Vに関して、内蔵されていない発熱の主な要因であるスイッチングFETとインダクタは内蔵されていません。従って、周辺部品の変更と一緒にDD3V変換効率が低下すると周辺部品の熱は増加します。
これはS6BP501A/S6BP502Aそれ自身の発熱は増加していない事を意味します。また、DD3Vの負荷電流が増えたとしてもS6BP501A/S6BP502Aの温度は上昇しません。なぜならセカンダリチャネル(DD1V、DD5V)の変換効率が低下しないからです。次に、セカンダリチャネル(DD1V、DD5V)自身による発熱は内蔵のスイッチングFETによって発生します。インダクタを変えることで効率が変化するとインダクタの温度も上昇します。これはスイッチングFETのONデューティサイクルを変化させます。(DD1VのハイサイドFETとDD5VのローサイドFETのONデューティーサイクルが増大。)結果的にPMIC損失は増えるかもしれません。セカンダリチャネル(DD1V、DD5V)のスイッチングFETのON抵抗は次のようになります。
表2. スイッチングFETのON抵抗
パラメータ | 標準値 |
DD1V ハイサイドFET | 130 mΩ |
DD1V ローサイドFET | 100 mΩ |
DD5V ハイサイドFET | 130 mΩ |
DD5V ローサイドFET | 100 mΩ |
DD1Vの2A負荷電流コンデションの例を考えてみます。インダクタがCLF6045NI-1R5N-D (RDC = 13mΩ標準)からTFM252012ALMA1R5M (RDC = 52mΩ標準)に変更された場合、インダクタ伝導損失はそのDC抵抗により4倍に増加します。(注2参照)
一方、S6BP501A S6BP502Aに内蔵され、かつより高いON抵抗持つサイドFETのONデューティーサイクルは増えますが、スイッチングFET損失の増大は0.6%のみとなります(注2参照)。
このように、周辺部品の変更によって起こるS6BP501A/S6BP502A(PMIC)の電力損失の増大は大変小さく、PMICによる発熱には影響を及ぼしません。
注1:前提として、PMICへの発熱を及ぼす部品からの熱伝導は無視されます。
注2:インダクタ損失見積もり
CLF6045NI-1R5N-Dの場合:
インダクタのDC抵抗による伝導損失 = 2A^2 × 0.052 Ω = 0.208 W
TFM252012ALMA1R5Mの場合:
インダクタのDC抵抗による伝導損失 = 2A^2 × 0.013 Ω = 0.052 W
このように、CLF6045NI-1R5N-DからTFM252012ALMA1R5Mに変更した場合、インダクタの伝導損失は0.208 W/0.052 W = 400% -> x4となります。
注3:FETの損失見積もり
CLF6045NI-1R5N-D
ハイサイドFET ON デューティーサイクル = (1.2 V + 2 A × 0.1 Ω + 2 A × 0.013 Ω) / (3.3 V – 2 A × 0.13 Ω + 2 A × 0.1 Ω) = 44.0%
スイッチングFET伝導損失 = 2A^2 × 0.13 Ω × 44% + 2 A^2 × 0.1 Ω × 56% = 0.4528 W
TFM252012ALMA1R5M
ハイサイドFET ON デューティーサイクル = (1.2 V+2 A × 0.1 Ω + 2 A × 0.052 Ω) / (3.3 V – 2 A × 0.13 Ω + 2 A × 0.1 Ω) = 46.4%
スイッチングFET伝導損失 = 2 A^2 × 0.13 Ω × 44% + 2 A^2 × 0.1 Ω × 56% = 0.45568 W
このように、CLF6045NI-1R5N-DをTFM252012ALMA1R5Mに変更した場合、スイッチングFETの伝導損失は0.45568 W / 0.4528 W = 100.6% -> +0.6%となります。
入力電圧と出力電圧が一定の場合、周辺部品を変更してもFETのスイッチング損失は大きく変化しません。
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